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子どもをかまうこと

古山です。

 子どもたちを見ていると、子どもたちが大人にしてもらいたい最大のことは、
「かまってもらうこと」なのだと思います。
 ちょっかいを出す、逃げる、追いかける、不意打ちする、隠れる、こちょこち
ょする、などです。

 考えてみると、これは、他人への近づき方、逃げ方、距離の取り方、などのい
い練習になっているんですね。それらは、生きていくために必要なことだから、
本能になっているのだと思います。

 ほんとうの社会性というのは、戯れ合いの中で育つものです。
 子ども同士の戯れ合いに「もっとやさしくね」というような声かけをしても、
子どもには何を言われているのか、どうしたらいいのかが、わかりません。実例
を間近に見て、自分でやってみて、相手が反応して、はじめて感覚でわかるもの
です。

 子どもにやさしくするというのは、子どもがちょっかいを出してきたときに、
「やったの誰だあ」と言って追いかけることであり、引っ込み思案の子にボール
をそっと転がしてやることであり、子どもの度が過ぎてバシバシ叩いてきたら、
「あ、それ、痛い、痛い」とちょっと真顔になることなのだと思います。

 こんなコツを心得た年上のお兄さんお姉さんが入っていると、遊び集団のレベ
ルが上がります。
「森でどんじゃらほい」は、感覚のいい大学生がしばらく入ってくれていまし
た。この人のすることの、ちょっとしたからかい方、はぐらし方など、間の置き
方など、「芸」というものになっていると思いました。
 彼は、大学の必修科目の時間と重なってしまい、いま、ボランティアの青年
と、シュタイナー学校を出た若い女性が入っています。どちらもなかなかのこと
をしてくれます。

 甥をホームスクールで育てていたとき、私のフリースクールにいた若者が遊び
とイタズラの天才みたいな人で、甥はこの若者にくっついて遊んでいました。そ
こで、生きることの大事なことは伝わっていました。おかげで、私は安心して甥
のことを見ていられました。
 その後、甥は大学院まで進んでいます。おかげさまで、おもしろいからと言っ
て数式をいじるようになっていました。それはいい兄貴分がいて、自分の感覚を
信じることを伝えてくれたからだと思います。

 若い人たちが子どもの相手をしているのを見ていると、それぞれの人の個性が
あることに気付きます。ちょうど、俳優や歌手に、それぞれの人の個性と芸があ
るように、子どもとの戯れ合いの中に現れてくる芸術性とでもいったものがある
のです。渥美清には渥美清の芸、樹木希林には樹木希林の芸があるようなもので
す。

 子どもとの戯れ合いは、芸術の域にまで高めることのできるものだと思います。
それは、子どもが生きる力に直接働きかけることができるものです。
 たぶん、遠くない将来、教育とは何かが根底的に問い直され、子どもの生きる
力に直接関わる職種、芸人のようなものが現れてくると思います。いま、ヒカキ
ンのようなユーチューバーが子どもに人気ですが、あれはその始まりではないか
と。

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古山明夫

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