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教育の画期的イノベーション

古山です。

「教育×破壊的イノベーション」(クレイトン・クリステンセン)
という本を読んでいました。

画期的な技術革新は、需要などなかったところから生まれてくる。

たとえば20世紀の末頃、コンピューターは大型のものが主流で、「どのような
コンピューターが求められているか」というニーズ調査を行えば、大型、高性能、
のものが求められていた。
アップルコンピュータなど、おもちゃだと思われていた。

ところが、この「おもちゃに過ぎないようなもの」が、世界を席巻してしまった。
大型コンピューターを作っていた会社は、軒並み倒産するか転業を余儀なくされ
た。

すでにある需要を満たすには、大きな投資と高度な技術が必要です。
それに対して、おもちゃのようなものは、ユーザーがちょっと喜べばそれでいい
し、たいした投資もいらない。そうすると、画期的なイノベーションが生まれて
くる。

いま、子どもが興味・関心を持ち自発的にやりたがることを教育の主柱にする、
ということなど、一笑に付されます。
教育の需要は、「高度な学力をつけて、一流大学に合格し、良い企業に就職する
こと」だと思われています。それには、たいへんな量の知識・技能が必要とされ、
たいへんな量の勉強が必要とされます。それに合わせたカリキュラムがあり、大
量の教師が雇用されています。周辺には、塾、予備校、教材販売などの膨大な教
育産業が栄えています。

この状況でニーズ調査をすると、「学力」ばかり出てきます。

教師や教育産業の人たちは、自分たちが失職するようなことには、関心を示しま
せん。いわゆる「教科」の外側に教育があるということは、信じられない。教育
行政も、すでに決められたことの範囲でしか動かない。

そこで、大学合格を頂点とする、膨大で、つまらなくて、子どもの興味関心を無
視した教育がいつまでも続きます。

子どもの興味・関心、自発性に基づく教育など、ニーズがないとされています。
制度整備もされず、投資もされていません。というより、そんなものが流行った
ら子どもたちが「勉強」を放り出してしまうだろうと、危険視されています。

いっぽう、不登校、ホームスクールの親たちは、子どもがちょっと字を書いたよ
とか、おつりの計算ができたよ、といって大喜びしています。とてつもないイノ
ベーションをおこすのは、この感覚なのです。

ホームスクーリングでは、子どもの自発性、興味関心がないことは、やらせたく
てもやらせようがありません。
しかし、本人の自発性と興味関心はもっとも重要なものであって、これに基づい
た学習はものすごく効率がいいし、深さも広がりもあります。

子どもが興味・関心を持っていて、自発的にやっていること。子どもに任せてい
たほうがいい部分もありますが、大人が絡んでいって、いっしょにダンスを踊っ
ているのがいい部分もあります。
これは、子どもにとっても大人にとっても、たいへん楽しいものです。

いまの、主流の学校教育を外れたところ、子どもも大人も面白がっているだけ、
というところから、未来の教育が生まれてきます。

もう、実際に生まれてきています。
それが、素晴らしいものなのだ、と気がついていないだけです。

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古山明夫

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