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子どもの遊ぶ力を引き出す

古山です。

子どもの遊ぶ力を引き出すことで、教育は自然で楽なものになります。

子どもの遊びは、人類が狩猟採集時代に獲得した自己教育システムだと思われま
す。

狩りをするにしても、食べられる植物を集めるにしても、あれは何という動物で
あり植物であり、どこに行けば見つかるか、どういう性質があるか、という知識
は膨大に必要です。
生き物や環境にあるものの種類を見分けたり、分類したり、所在地を知っていた
りすることは、本能的にやりたくなるのです。

現在、このような知識欲にもっともよく答えてくれるのは、図鑑です。
ただ面白いから図鑑を見ていたら、いつのまにか膨大な知識を蓄えていた、とい
うのが自然なのです。
図鑑好きの子どもは多いし、大人でも学校の教科より図鑑で育ったという人たち
は多いです。

先日、「『賢い子』に育てる究極のコツ ~16万人の脳画像を見てきた脳科学者
が教える」という本を読んでいたら、「三つの秘密道具」の一つに図鑑をあげて
いました。
あと二つは、虫取り網と楽器。

人間が、これだけ知性を発達させたのは、狩りをしていたからです。
人間は、捕食獣としては牙、爪、ダッシュ力などが貧弱で、本来は腐肉あさりく
らいしかできません。それでも人間が生き延びてきたのは、「獲物の性質を読み
取る」ことができて、隠れ場所を見つけたり、罠を仕掛けたりすることができる
ようになったたからです。
おまけに、毒や飛び道具まで使うようになった。

人間が狩猟採集の生活をするには、ものすごく知性が必要なのです。人間は1種
類だけの獲物で生きてきたのではなく、多種多様なものを捕まえないと生きてい
けない。だから、種類ごとに、さらには獲物ごとに「どのような性質を持ってい
るか」を見つけていかなければならない。それをやっているうちに、脳がものす
ごく発達しました。性質を見つけること、法則性を見つけることは楽しくてしょ
うがないように仕組まれているのです。

人間は知性を使いこなすことが楽しいのです。
そして、自分の技を上達させることに、無上の喜びを感じます。だから、コンピ
ュータゲームをやる。

ところが、歴史は皮肉なもので、人間の活発で柔軟な知性を抑圧する必要が生じ
ました。農業時代です。農業時代はたいして古くなくて、1万年くらい前からで
す。人類全体の歴史は600万年くらいです。

農業では、退屈なことでも我慢して、同じことを淡々と続ける能力が必要になり
ました。
また、農業時代は、生産物の奪い合いと領土争いの時代です。強い兵隊のいると
ころが豊かになれる。そこで、命令に服従することを訓練した兵士を大量に育成
すると、豊かになれる。

退屈に耐えることと、命令に服従することを訓練する教育が必要になったのは、
この農業時代だと思われます。

農業時代はもう終わっているのに、学校はまだ農業時代の教育をやっている。
それで、学校はつまらない。

ところが、経済的に、ほんとうに新しい時代が始まっています。新しい狩猟採集
の時代と言ってよいかと思います。
現代の獲物は、「お客様」と呼ばれます。別に命をいただこうというわけではな
い。お金をいささかいただければよろしい。個人の才覚、技量を磨いて、獲物を
捕まえる。あるいは有能な集団を作って、獲物を捕まえる。それで食べていくわ
けです。

ちなみに、私はベーシックインカムの研究者でもありまして、稼がなくても最低
限は生きていける生活保障があったほうが、全体の経済もうまくいくという結論
に至っています。ベーシックインカムがあれば、誰でも何もしなくても生活はで
きます。生きることは、それ自体にとてつもない価値があります。無能でもいい
のです。
でも、もし、ぜいたくをしたかったり、活動意欲旺盛なら、稼ぐ能力も磨いてく
ださい。

生きるのに必要な能力は、それぞれの子どもの遊びの中から生まれてきます。
子どもの遊ぶ力を引き出す。
そこに、ある程度の知識、技術を上乗せしていく。

それがこれからの時代の教育だと思います。

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古山明夫

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