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幸せだから

特に意識はされていないけれど広く行き渡っている、教育哲学があります。

「何かができるようになると、幸せになれる」
というものです。

そうではなくて
「幸せだと、何かができるようになる」
なのだと思います。

子どもたちを観察していると、そうなのです。
幸せだと、ふっふっといろんなことに興味が湧いてきます。好きでやっているか
ら物覚えがいい。余計なことを考えずに集中するから、上達が早い。

お金の世界でも、大富豪と呼ばれる人たちの多くは金を目当てにした人たちでは
なく、幸せになるコツを知っている人たちです。そうすると、お金のほうで集ま
ってくる。

「何かができるようになると、幸せになれる」
と言っているのは、学校の教師達と、教育産業の人たちです。どちらも下心が見
え見えではありませんか。

学校の先生達は、子どもが嫌がろうが嫌がるまいが、何かを達成させることでお
給料をもらっている人たちです。子どもたちを煽りたいということもあるだろう
けれど、なによりも、私のしていることによって、子どもたちが幸せになれるん
だ、と信じなければやってられない。これは、先生本人が信じているから、けっ
こう説得力があります。

「学校についてこれないと、子どもが不幸になる」と信じて、学校を正当化して
いる先生たちもいます。事実は、学校で不幸になった子どもたちが、学校につい
ていけなくなったのです。
不登校がこれです。

教育産業の人たちは、もちろん、お客を集めたいわけです。

ところが、子どもに何も無理させる必要はない、幸せに生活していればそれでよ
い、などと言っても給料ももらえないし何も売れません。だから、言う人がいま
せん。

幸せに生きていれば、知識や技能など、おまけのようについてきます。

森の木陰でドンジャラホイしているのが、よろしいようで。

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古山明夫

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