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ファンタジーの力 2

古山です。

グリム童話には、魔法で動物にされてしまった王子さま、魔法を解くために7年
間口をきいてはいけない少女などのように、言葉を発することができなくなった
者がたくさん出てきます。

こういうお話しを聞いている子どもは、「その立場、わかる。どうなることか」
とハラハラしながら聞いています。何も言えず、いいように誤解される登場人物
は、まるで我が身のように感じられるのです。子どもは、言葉が発達していませ
んから、自分の想いを伝えられないことが多いのです。

お話しでは、いよいよ危ないというとき、素晴らしい知恵が湧き出たり、超自然
的な助けがやってきて、困難が解決します。子どもはほっとします。
子どもは、登場人物といっしょに、大冒険を体験しています。そして、苦難を乗
り越えることができる、と言う確信を持ちます。

よいファンタジーは、教訓を残そうとはしません。もっと直接に子どもに体験を
積ませているのです。

子どもは無力な立場にいます。私が子どもの時、親に「どうして通じないんだ」
という想いをたくさんしました。だから大人になったら、子どものことを理解し
ようと、心に決めていました。ところがどっこい、大人になってしまうと子ども
を理解するのはとても難しい。言葉で表現できないことを察しろと言われても、
そりゃきついです。大人の立場もわかるようになりました。

だから、グリム童話のようなファンタジーは、どうしても必要なのです。親が子
どもを護ってやりたくても、親はスーパーパワーではありません。失敗もします、
誤解もします、力の及ばぬこともあります。そのように親の力では子どもを護り
きれないときの救命ボートを、ファンタジーは用意しています。だから、グリム
童話には悪い親が、これでもか、というくらい現れます。グリム童話は、親の保
護が届かないときにどうやって生きたらいいか、の事例集です。決して絶望しな
いようにと子どもたちを励ましているのです。

ファンタジーで、素晴らしい知恵が湧き出たり、超自然的な助けがやってくるこ
とは、とても大事なことです。

こういうものの存在を信じられなければ、子どもは絶望にとらわれ、恨み、破壊
し、閉ざす方向に行ってしまうでしょう。

子どもだけじゃありません。
いま、60歳を過ぎた私は、「小人の靴屋」のお話しが好きです。
皮を裁断だけしておくと、夜の間に小人がやってきて靴を仕立ててくれるという
お話しです。
本を書いていて、行き詰まることが多かったです。そんなとき、考えられるだけ
は考えて「もう自分にはわからない」ということを受け入れます。そして寝ます。
すると、翌朝、キーボードを打ち始めると、新しい筋道が浮かんできて、なんと
かなるのです。
夜の間に小人さんたちが働いてくれる、というのは本当のことです。

いま、ちょっと難しい仕事に取り組んでいます。ちょっと行き詰まってます。お
手上げ。だから、これから寝ます。小人さんたち、大好きだよ。

古山明男

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古山明夫

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