古山です。
ホームスクールでも、こどもがよく育つ理由をまとめます。
われわれは、遺伝的には狩猟採集民族のままである。
人類は、狩猟採集の時代が約100万年
農耕牧畜の時代が約1万年
事務所と工場の時代が約100年である。
狩猟採集民族は、分かち合いが発達し、お互いが平等であるところがほとんど。
労働時間は少ない。
数十種の動物の生態・性質を熟知し、その捕まえ方に熟達している。
数百種の植物の性質を熟知し、どこにあるか、いつ実がなるか、どうやって食べ
られるようにするかを知っている。
道具を使いこなすが、その場その場の手近にあるもので道具を作ってしまうこと
が多い。
歌と踊りが上手。
伝承の物語がある。
われわれの子どもたちは、このような狩猟採集民の能力を、教えなくても発揮す
る。自然にやりたがる。それが、遊びの正体である。
教育は、子どもたちがもっている狩猟採集民の本能を十分に生かさないと、子ど
もたちに大きな負担をかける。子どもの遊びを生かした教育が求められる。
しかし、狩猟採集民にできないが、現代の我々が必要とする能力もある。それは、
記号を使いこなし、記号で考える能力。
記号を使いこなす能力には、ものすごく個人差がある。早いと4,5歳で勝手に
理解するようになり、遅いと11~12歳で成熟してくる。
そのため、学校の学力には、ものすごくバラツキが出てくる。
16,7歳くらいになると、記号を使いこなす教育でも、無理のないものになる。
それ以降の専門教育に接続することができる。
14、5歳までは、狩猟採集民の能力を生かして育てる。
電車の名前を覚えたり、ハーブを栽培したり集めたり、ピタゴラスイッチの仕掛
けを作ったり、そんなようなことを中心にする。本人がやりたがることを中心に
して、ちょっと助力してやると、人を信頼する人間が育つ。
教える必要のあるのは、最低限の読み書きと、初歩的な計算だけでいい。
ただし、できるだけ、実感でき、納得でき、気持ちのこもった形で教える。分量
と進度にはこだわらない。
そうすると、現代社会を自分の狩猟採集の場と心得て巧みに生き、人と協力する
ことができ、平和に生きることのできる子どもが育つ。
古山明男