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こどものファンタジー

 

最近、子どものときの心情に、ふうっと返っていることがよくあります。

きょうは、ふうっと、空想の世界に入り込みたくなる気持ちが湧いてきました。
空想の世界といっても、なんでもいいというわけではないのです。あの、親の膝
の中にスポンと潜り込んでいくように、気持ちよく入り込んでいく世界です。
そこには、真・善・美、そして驚異が流れているのです。
たとえば、小学生のときよく入り込んでいたものの一つが、自分のための理想の
船を考えだし、絵に描くことでした。その船の中には、いろんな船室があって、
すべてがそろっているのでした。その船で、いろんな海や川を冒険して行くので
す。
そのほか、たくさんの空想世界やストーリーを考えていますが、それは自分で考
えているようでもあり、自然に湧いてくるようでもあります。

その後の自分が生きてきた後をたどると、一生ずっと、この空想の世界と接触し、
それを形にして描き出すということが、天職であったように思います。子どもの
ころやっていたことが、自分の人生の予行演習でした。

なによりも、空想の世界の中で何が美しいかワクワクするかの直感力を磨き上げ、
それを絵やストーリーに具体化するということが、子どものときの大事な能力開
発であったと思います。
小学生くらいまでの子どもが、さかんに空想の世界に入り込み、それを絵に描い
たり、お話にしたり、工作の作品を作ったりします。これが、ものすごく重要な
のです。特に、繰り返し現れるテーマは、重要です。

たいていは、その子の人生の青写真作りになっていたり、人生の予行演習になっ
ているのです。
私の場合、学校には、このファンタジーのもたらす、美しい、楽しい、わくわく
するものがありませんでした。やらなければならないことが延々とあるだけの砂
漠でした。家に帰ったら、学校のことはすべて精神からシャットアウトして、空
想の世界に入っていました。だから、勉強はしない。宿題は、その日の朝になっ
てやっつける。学校に行く気分になってからなら、宿題と付き合うのもさほど腹
が立たない。

そして、この世界に入り込むことが、生きることでした。
決して空想の中に閉じこもったのではなく、いろんな事物をストーリーに見立て
て遊ぶことでした。結果的に、事物の性質にも触れますので、知識や技能もたく
さん取得しました。
学校の授業は、もうわかりきっていることを、復習するようなものでした。
学校でよく「自分の将来の夢を書きなさい」と課題が出されます。でも、課題と
して出され、評価がされる状況で、子どもの人生に深く関わるファンタジーが出
てくることは、まず期待できません。「先生になりたい」とか「保母さんになり
たいとか」のほとんどは、その時々の世の中の流行や、大人たちの意見を反映し
ているものです。

子どものファンタジーは、そうっと、そうっと扱ってやらなければいけないので
す。
もし、子どもがストーリーや絵を持ってきたら、一番いいのは、それを自分の心
の深くに沈み込ませることです。論評しないことです。もし感動したなら、素直
に感動を伝えればいいけれど、褒めたり継続させようしたりしないことです。

ああ、そうかい。そういう世界に生きているのかい。ああ、そうかい。うん。、
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古山明男

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古山明夫

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