子どもが、なにかのかげんで、溌剌としてきて、いい表情でなにかやっている。 そんなことがありますよね。 自分がそういうことになって、ああ、本人の立場からするとこういうことなんだ、 っていうことがありました。忘れないうちに書いておこう。
先日、天外司朗(てんげしろう)さんという元ソニー重役でロ ボット犬を作っていた、いまは多方面で活躍している人が主催した教育講演会に 行きました。天外さんに招待されたもので断わりにくい、という事情だったので すが。 行ってみたら、めちゃくくちゃ面白い講演会でした。
「いま、学校の授業がおもしろくて学校に来ている子が何割いるんですか?」と 言ってのける平川さんという民間人校長と、シュタイナー教育の子安美智子さん。 天外さんは「大脳新皮質シンドローム」と言って、頭のいい人を集めて国家プロ ジェクトをやっても失敗ばかりだ、そんな教育じゃだめ、というお話し。
みなさ ん、本音だらけでユーモアたっぷり。 そこにもってきて、天外さんが私のことをチヤホヤしてくれる。会場の人に私の ことを紹介してくれたり、質疑応答のときに「古山さんは、どう思いますか」と 振ってくれる。そうしたら、ふっと機転のきくことが言えて、ウケちゃう。ふだ んだったら、無難なことしか言えないのだけれど。 講演会が終わってからも、私のところに、名刺交換の列ができてる。 懇親会になってからも、気の利いたことが言えるし、考えもせずにとっさの冗談 が言えて、ウケるんですね。
こんなの、高校生の時以来です。
天外さんのやっているこの集まりが「フロー・インスティテュート」というとこ ろで、人間が夢中になって我を忘れている「フロー状態」が大事なんだ、という ところ。どうも、その、「フロー」に入ってしまいました。 考えてみたら 「注目を浴びている」 「大事に思われている」 「傾聴されている」 それをシャワーのように浴びると、古い脳が活性化して、すごくクリエイティブ になるんです。 「~せねばならない」 「~しないようにしよう」 をいくら積み重ねても、そこにはいけない。 この日のことは、たまたま私に社会的背景があるから起こったことでした。でも、 子どもたちには、なんの理由もあってはいけない、大事な大事な栄養素なんです。
ああ、いい気持ちだった。 こんどは、私が子どもたちに同じことをしよう。
古山明男