子どもは外界が怖いこと

 

古山です。

私が幼稚園児のときでした。

母が友人といっしょに、衣料品店に買い物に行きました。私も連れられていまし
た。店内はかなり混雑していました。

私は母のスカートを掴んで、母にくっついて店内を歩いていました。それなりに、
あれはなんだ、これはなんだと、好奇心を働かせていました。

そのとき、それが起こりました。
ふと気がついたとき、私は母のスカートを掴んでいたのではなく、母の友人のお
ばさんのスカートを掴んでいたのでした。
あれっ、違っていた。

それに気がついたときは、ほとんどパニックでした。

見知らぬ場所であっても、母に掴まっていれば、安心していられました。その安
心が突如吹っ飛んでしまって、見知らぬ人混みの中に投げ出されてしまったので
す。

母は世界の中心でした。
母がいれば、そこは住める世界です。母がいなければ、そこはたちまち見知らぬ
荒野です。

たぶん、大泣きしたのだと思います。
母がやってきて、手をとってくれました。またスカートにしがみつくことができ
ました。

子どもにとって外界は怖いところです。この怖さは、大人になると忘れてしまっ
ているものです。しかし、子どもにとって外界は、大人と同じに見えてはいませ
ん。だれでも、小さいときは勝手に家から遠くは離れないものですし、外出した
ときは親から離れないものです。それは躾ではなくて、見知らぬ世界は怖いから
です。

大人になってから、この怖さの感覚を知っているだけで、子どもを扱うのがずい
ぶんと楽になります。
「あ、そういうことね」とピンときやすくなるのです。

 

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古山明男

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