古山です。
Nさんが、今の教育は、罰ゲームみたいなものを無理して身体に流し込んで
いるのではないか、と刺身とわさびを例に出していました。
私も、今のふつうの教育は、生きるために大事なものを忘れてしまっていると
思います。それで子どもがつまらながるし、賞罰や競争を持ち込まないと教える
ことができなくなっています。
先日、あるお母さんが5歳の子を亡くされ、そのお別れ会に出ていました。
気丈な方で、半狂乱の状態は1日だけで抜けたとのことでした。会の手配、進
行を自分でなさっていました。
そのお母さんが言っていました。生きる目的は愛です。能力とか収入とか地位
とかは手段にすぎない、と。そのことは、ただただ実感だったのだと思います。
私も知っている子でした。子育ての会にお母さんが連れてきていました。
なにかしら精神性を湛えていて「わかっちゃってる子」という印象でした。
お母さんが語るところでは、愛情の塊のような子だった。幼稚園では、いわゆ
る多動気味で、「学校に行ってからが心配です」と言われていた。でも、この子
は、学校での訓練などとは無縁の世界に生き、学校での訓練にさらされる前に去
って行った。
そういうタイプの魂たちがいます。
すごく純粋で、とくに自分の人生課題を持っていません。人を、とくに親を幸
せにしたくてやってきます。
自分の課題は持っていないから、立ち去りやすい。生きるのにもっとも必要な
ことは何であるかを伝えると、去って行く。
そういう子どももいます。でも、大部分の子どもたちは、大人になることを予
定しています。
子ども時代には、誰でも、生きるのにもっとも必要なものがなんであるかは知
っています。それを失わずに、大人としての知恵を身につけること、これが本当
の生きる力だと思います。
幸せな子ども時代を持てると、社会の荒波の中でも生きる力が育ちます。
古山明男